バーン・アフター・リーディング

コーエン兄弟によるコメディ映画。ジョージ・クルーニーブラッド・ピットティルダ・スウィントンジョン・マルコビッチなどキャストが豪華。
ストーリーはwikiから拝借するとこんな感じ↓

アルコール依存症が原因でCIAを解雇されたアナリストのオズボーン・コックス。彼は失職後にCIAでの出来事を綴った回顧録の執筆を開始するが、ひょんなことからそのデータが入ったディスクをスポーツジムの職員であるチャド・フェルドハイマーとリンダ・リツキが手に入れる。

チャドとリンダは回顧録をCIAの機密情報と思い込み、オズボーンからディスクと引き換えに金をゆすり取ろうとする。しかし短気なオズボーンとの交渉は失敗に終わり、リンダはディスクをロシア大使館に持ち込む。更なる情報を求めてオズボーンの家に侵入するチャドだが、そこでオズボーンの妻ケイティと不倫関係にあった財務省連邦保安官ハリー・ファラーと遭遇してしまう。

チャド(ブラピ)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)がものすごくくだらない情報を国家の重要な機密だと勘違いしている、というところを軸にして、周辺の人物がぐるぐるとしょーもない行動へと駆り立てられ、そしてそのすべてがろくでもない結果に落ち着いていきます。
コメディ映画といっても登場人物がふざけた感じなわけではなく、むしろそれぞれがそれなりにシリアスに考え、動いていて、演出も一貫してシリアス。物語もかなり悲惨です。しかしそのシリアスさ、悲惨さはマジでしょーもない勘違いの上に成り立っているわけで、そのコンテクストを参照すると物語すべてが滑稽です。直接の笑いではなくてそういったちょっと間接的な、常にコンテクストの呼び出し・参照を必要とするような笑いをやっている。やはりコーエン兄弟は業が深い。
コーエン兄弟によるこのように高度にひねくれたコメディー映画というのは恐らくあまり面白くないだろうと思いながら観に行ったのですが、しかし思っていたよりは面白かったです。ぐったりするほど苦笑ができるし、人生というのはすべからくクソ滑稽で意味なんて何もないんだということも学べるので、ブラピやクルーニーやティルダ様が好きなひとは観に行ってもいいと思います。しかしものすごい豪華キャスト。名優たちがそのすばらしい演技力でもってこのようなマジでくだらない話をシリアスに織り成している、というメタなコンテクストも苦笑を呼びます。
ところでスタッフロールでかかる曲がよかったです。The FugsのCIA Manという曲なのですが、歌詞が面白い。

Who's the agency well-known to God?
The one that copped his staff and copped his rod?
Fucking-a man!
CIA Man!
CIAってすごくユニークなところみたいですね。うーむ。