王国を待ちながら
村上春樹『1Q84』を読みました。
- 文体が変わったかも?いくぶんか論理的になったような。そして会話の「村上春樹っぽさ」が多少薄まったかと思う。
- 手法としてのサスペンスの要素がほかの作品よりも強めな気がする。ラストまでグイグイ読ませる力が強い。長い割には読みやすい。
- オーウェル『1984』は読んでなくても別にいい気がする。「ビッグ・ブラザー」という単語は知ってて当たり前みたいな感じで出てくるけれども。権力とかシステムとか監視社会とかよりも「歴史」とか「父」とかについての小説か。あるいは「愛」とか。あとは「世界の二重性」とか「個人の多重性」とかか。
- 『モンキービジネス』の5号で村上が古川日出男のインタビューに答えていて、そこで村上は「いつか総合小説(『ニュー・クリア・エイジ』、あるいは『カラマーゾフ』のような)を書きたい」と語っている。で、『1Q84』はなんというか結構その「総合小説」っぽく仕上がっている、ような気がする。そろそろあれか。ノーベル賞か。