「でろでろ」完結

でろでろ(1) (KCデラックス ヤングマガジン)
でろでろ(15) (KCデラックス ヤングマガジン)
ヤングマガジンで5年と8ヶ月の間連載されていた押切蓮介『でろでろ』が今号で完結しました。
最終回だというのを読むまで知らなかったので驚いたのと、そしてちょっとした感慨がありました。『でろでろ』の第一話を読んだときの衝撃を懐かしく思い出します。
「ギャグホラー」というジャンルは当時目にした事がなく(というかこのひとが創始者ではないかと思う。ホラーの中にギャグ要素を潜在的顕在的に盛り込んでいくというのはそれまでにもあったけれど、あくまでもギャグ主体でその舞台装置としてホラーを使ったというのはこのひとが初めてなんじゃないか)、耳雄が幽霊をぶん殴ったりとホラーの「お約束」をぶち破っていくのがとても新鮮で、毎度笑わされたものです。
しかしだんだんとその新鮮さは薄れていき、ギャグマンガとしての破壊力は落ちていってしまったように思います。すると『でろでろ』は幽霊や妖怪たちの哀愁、「幽霊が見えてしまう」耳雄や留渦の異質さ故の苦悩など、叙情的な要素を徐々に増やしてきました。僕はこれがなんだか不満ででろでろのコミックスを買うのを途中でやめてしまったのだけれど、しかし今読み返してみると叙情的な話の回にも独特の味があってとても良い。押切氏は夕暮れなどの薄暗い場面をドラマツルギーとして利用するのが非常にうまい。懐かしいというか、哀しいというかなんとも言えないような気分にさせられる。最終話もそんな気分を存分に味わえる良い話でした。コミックスもまた集めよう。
押切蓮介シリウスで連載中の『ゆうやみ特攻隊』もホラーで面白いですが、やはり『でろでろ』の叙情的な感じを味わえる作品もまたやって欲しいなあ。
ところでヤンマガといえば『喧嘩商売』も今号でひと段落。金田編面白かったなあ。