ひきこもごも/ネオリベ原理についてちょこっと

年末〜三賀日は初詣以外はほとんど外に出なかった
このごろはなんだかひきこもり気味
ちょっと前まではもう少し活動的な人間だったはず
特に用がなくても一日一回は外に出て散歩とか本屋で物色とか喫茶とかしていた
今は学校行かなきゃとかひとと約束があるとかじゃないと家から出ない
大体家で本読んでる
いつの間にかamazonのヘビーユーザーになってる
amazonはとにかく商品おすすめシステムがアツい
「あなたへはこちらがおすすめ」とか「New for You」とか
「お前はこれを欲望しているはずだ」という提示
うぜえよ、勝手に決めんな、と思いつつも、おっこれよさげじゃね?とかなって買っちゃう
そもそも存在しなかった欲望がそうして提示されることで事後的に「発見」される
商品だけでなくて欲望まで提供されている感じ
すげえ動物的でやばい
amazonは便利だけどちゃんとリアル書店に行くのも大事
そこには全く予期せぬものとの出会い=誤配可能性も確保されているしね

しかし昨日は友人とお酒を飲む約束があったのでそのようなひきこもり根性を打ち破って久しぶりに昼間のうちから重い腰を上げて外出。ついでにいろいろな用事を済ませ、友人とは6時から結局5時間くらいひたすらウィスキーを飲みつつ喋っていた。
とりあえず始めた近況報告的な話が就活の話題にシフトしてしまってものすごく暗くなったので無理やり話題を変えたら、なぜかワーキングプアとか派遣労働とかの社会問題について、あるいは富の再配分はどこまでやるべきか、みたいな割と真面目な議論になってしまった。ふたりとも社会学部なのでまあらしいと言えばらしいが皆様よくご存知の通り酔っ払いが繰り広げるこの種の議論はサイアクに不毛。意見は完全にすれ違い問題となっている事項は際限なく横滑りを続けてしまってなんらの妥協点も一致点も見いだせないまま2時間くらいして突如僕が
「いやでもそれは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜なんじゃないのっていうかあれ俺今めっちゃ早口じゃね?あれ俺普段こんな早口じゃなくね?おかしくね?酔っ払ってると早口になるのか俺?いつもそう?そうでもないよね?議論とかの時はそう?そうなの?そうなのか今日気づいたわうわあきもいなこれやめたいんだけどどうすればいいかなあまあキミは知らないよねって言ってるこれがほら既にめっちゃ早口だしねってこうやって自己言及的なツッコミをやってるのもオタクっぽくてやばいなあっていうのがほらこれもメタ自分ツッコミでやばいじゃんうわあキミ知らんかも知らんけどこれやばいんだよラノベの文体とか全部こんなんなんだよ一人称でさあうわあどうしてこんなんなっちゃったんだろどうしてだと思う?って知るわけないよねってほらこれも異常に早口だし自分ツッコミだしマジでやばいやめたい」
みたいな気づきを得て急速にとても気持ち悪いひとになって本来の議論が切断されて終わった。そんな議論より他に話すべきことがあったような気がするんだけどまあまた今度。

ついでに議論の中身(の一部)を書いておくと友人は割とネオリベっぽい考え方。優勝劣敗、自己決定・自己責任。僕はいまんとこ割とリベラルなので対立する
僕が「フリーターとか派遣労働者が増えているのは産業構造が変わってクビの切りやすい短期型の労働の需要が増えたから。それで今回みたいな不況になってそういうところが一斉に切られて困った、という状況になると「フリーターとか派遣とかはそういう生き方を選択したんだから自己責任」みたいな話になる。それはおかしいんじゃないか、構造的にそういうひとたちは一定数必要なんだから、そのひとたちがそれなりの生活を送れるように福祉をデザインしていくべきなんじゃないか」みたいなことを言う
そうすると「でもそのひとたちは努力と能力が足んなかったんだから仕方ないよ。競争は必要だよ」と返ってくる
「でももし今フリーターとか派遣とかやってるひとたちが努力して正社員になっていたとして、その分他の誰かがその枠を埋めなきゃならないわけだから、結局誰かが不幸になっているというのは変わんないじゃん」
「だからその場合でも負けたひとの努力と能力が足んなかったわけだから仕方ないでしょう?」みたいな。堂々めぐり
それはちょっとおかしくないか、と思う
「競争社会なんだから死ぬ気で努力してない奴は負ける、負けた奴は自己責任だから仕方ない」みたいなのはおかしくないか
おかしくないか、というかそういう社会は嫌だ
なぜかと言うと、努力とか面倒だから嫌いでなるべくしたくないからww
でもそれはかなり真理だと思う
全員が際限なく蹴落としあってる社会がいい社会だとは思えない
ネオリベ原理には、自分が弱者であったかもしれない、次の瞬間弱者になるかも知れない、という想像力が欠けているのではないか
「仕方ない」と言っていたらただの現状追認になってしまうのではないか
「仕方なくないのではないか」というところからスタートすることでしか可能性というものはないだろう
そもそも各々には才能というものがあるから、いくら努力したって勝てないひとだっている
才能がある人間はそんなに偉いのか
ただの運じゃん、という話
遇有性、モラル・ラックの問題系*1
少なくとも僕は、運にも才能にも恵まれていない、日々の生活にくたびれたひとたちに、「もっと自助努力しろ」、と言えるほど偉くない*2

*1:ちょっと違うけどこういうような話http://freezing.blog62.fc2.com/blog-entry-477.html

*2:なんとなくカーヴァーの短編の影響でこういうことを考えてしまっているような気がする。「ささやかだけれど、役に立つこと」とかの。