平成古本浪漫

急に休講になった講義があったのでその空き時間に学校周辺の街をぶらぶら。していたら古本屋を発見。ぶくおふとかではなく茶色くなった本が積み上がっている古いタイプの古書店。入って物色。『ディケンズ短編集』、およびニーチェ『この人を見よ』、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(いずれも岩波文庫)を発見。値段を確認すると割と安い。おおっ、ええ店や。と関西弁で思いながら確保。さらに何重にも積まれた本の塔を崩さないようにずらしたり持ち上げたりして物色を続けると、蓮見重彦『物語批判序説』を発見、確保。レジ(といってもレジなんかない。机に帳簿と電卓が置いてあるだけの簡便な会計場所)に持っていくと店主のおっさんがタバコを吸っている。こんな可燃物だらけのクソ狭い店内でタバコを吸うとはやりおるなこのおっさん。むむむ。と思って急遽目に入ったSoseki Natsumeの"Light and Darkness"も確保。それってつまり漱石の明暗。そんなもんは日本人なんだから日本語で読めばいい。そんなことは百も承知だけんどもおっさんにナメられないように、というなんだかよくわかんない自意識が私にSosekiを手にとらせたのだ。おっさんは狙い通り俺のことをわかってる系のあんちゃんだと思ったのかなんやらごにょごにょ言いながら会計をちょっとまけてくれた。ふふふ。しかしSosekiはうちに帰って開いてみたら英語がむつかしくてよう読まんよこれは。どうすんだこれは。
ところで『坊ちゃん』→"Botchan"、『こころ』→"Kokoro"なんですね。あえて訳さないのか。なのに『我輩は猫である』は"I am a Cat"。身も蓋もないタイトル。私は猫です。うーむ。翻訳の不可能性について考え込んでしまうぜ。