2009-01-01から1年間の記事一覧

セクシュアリティ・婚姻・親密性

0.レポート概要 このレポートでは、セクシュアリティと婚姻に結びつきかたの近代から今日にいたるまでの有りようについて、フーコーの『知への意志(性の歴史 第一巻)』での議論の、そのうちとくに婚姻の装置について論じた箇所と、ギデンズの『親密性の…

うだる

水村女史の『日本語が亡びるとき』を古本屋で発見したのでいまさら購入してしまいました。グローバル化は地獄だぜフゥハハー。 同時にチェーホフ『桜の園』と『カフカ寓話集』(どちらも岩波文庫)を購入。 カフカ寓話集は唖然とするほど短くてしかも「カフ…

前田塁「"知"の臨界時計―「Googleブック検索」の針が刻むもの」@群像

いやいやこれは面白い。Googleブック検索の出現やwikipediaの発展などに代表されるさまざまなWEB上の情報サービスのますますの影響力の増大そして進化に伴う書物の書かれ方、また小説の消費のされ方の不可避の変質の話、はては世界の不均質化の話とかがさ…

本格的7月

フーコーの『性の歴史』の特にセクシュアリテと結婚の制度的結びつきに関する箇所と、ギデンズの『親密性の変容』の「ロマンティックラブから純粋な関係性へ」の議論とを比較して差異を考えたりあるいは共通性を考えたり現実の社会との整合性を考えたりする…

川上未映子『ヘヴン』@群像

川上未映子の新作「ヘヴン」が400枚一挙掲載というので久しぶりに「群像」を購入。「ヘヴン」を読んだらなんというか「ちゃんとした」小説になっていて吃驚。実に小説らしい小説。川上未映子は「わたくし率」や「感じる専門家」など、これまでの作品は詩…

ディア・ドクター

「ゆれる」、「蛇イチゴ」などの西川美和の監督・脚本による、笑福亭鶴瓶主演の山間の過疎村を舞台にした映画。 「ゆれる」ではとにかく「表情に語らせる」という手法が印象的だったけれど、「ディア・ドクター」でもその手法がとられていた。ただ、「ゆれる…

旅券

パスポートの更新に新宿は都庁旅券課へ。二日連続。 昨日は前回のパスポート取得時と本籍地が変わっていることに気づかずに行ってしまったために戸籍謄本が必要ですと言われてしまい失敗。恵比寿の区役所出張所に出かけていって戸籍謄本をもらう。戸籍謄本も…

幽霊たち

「気合の入ったエントリを書いてやるぜ」といった風に意気込んでいると更新が滞る傾向にあります。今回はデリダの友愛のポリティックスを遂に読み終えたので、「友愛に疲れた民主主義、幽霊に憑かれた哲学」なんてなタイトルでぶちあげようかと思ったのだけ…

貫通

オノ・ナツメ『COPPERS』の2巻を生協で購入して読みました。オノ・ナツメはいまだに面白いのかどうかよくわからない。間違いなくウェルメイドなんだけどもなんだか内容スカスカなような気もするなあ。うーむ。 そして放課後に吉祥寺はバウスシアターにて「…

しその中の人

「ペプシしそ」を飲みました。案外美味しいな、と思ったのですがこれはやはり僕の味覚がおかしいのだろうか。もう一度飲みたいな、とは思いませんでしたが。 こういった「絶対に売れないだろコレ」という商品を目にしたときまず思うのは会社(今回であればペ…

なにがこうちくされるのか

ゼミで「日本においてハゲはなぜあのような扱いなのか」という話題になりました。 アメリカとかヨーロッパとかでは禿頭はそこまでひどい扱いではないように思います。 なぜ日本においてはあのような扱いなのか? 構築主義的答え:そういうことになっているか…

記念ぱぷこ

【男女逆転メロス/女同士の友情の不在について】がゴリラブーツで取り上げられていてびびった。ゴリラブーツたまに見てるよ俺。ちょっと嬉しい。 しかしみんなサブカル×ジェンダーが好きなんだなあ。フーコー『性の歴史』で指摘されていること(我々は性に…

とりあえず方向性

卒論のテーマの方向性がなんとなく定まりました。環境管理型権力、あるいはアーキテクチャ、のまわりでなんかやろうかなと思っております。友愛や歓待のまわりでなんかやるにはあまりにもデリダが難しいのでちょっときついかなと思って諦めました。映画とか…

日が長い

昨日のことだけれど、青山ブックセンター本店でやっていた光文社新訳古典カフェに行ってきた。講師はフランス文学者の野崎歓さんで、サブタイトルは「世界文学としてのフランス文学」。まったく大きく出たものだなあと思っていたが、しかしお話を聞いている…

アカデミズムは復活なんてしないよ

車は買わないが勉強はしている学生たち 重箱の隅をつつくようなことなのかもしれないけれど、ちょっと気になったので書いておきます。 そしてもう一つ、このランキングからは重要な変化が読み取れる。 「語学・資格試験」と言う項目が、三世代の中で もっと…

男女逆転メロス/女同士の友情の不在について

今日は太宰治の生誕100年。さまざまなメディアで太宰が取り上げられていますね。 太宰といえば『人間失格』ですが、しかし人間失格を実際に読んだことがある、というひとは案外少ないのではないでしょうか。むしろ、ほとんどの国語の教科書に載っている『…

赦すということ

Chikirinさんがこんなことを書いていたけれども↓ Chikirinの日記 足利事件の菅谷さんに、県警本部長が「組織を代表して」直接謝罪した、というニュースをテレビでやっていた。権力も時には謝る時代なのだなあ、システムが変質してるのかしらん、とか思って見…

「この私」と遺伝子操作

「成熟とは自分には選べなかったことを自ら選び取ることである」というような言葉があります。誰が言ったかは忘れましたし(きっとバーナード・ショーでしょう)*1うろ覚えの引用ですが、言わんとすることはわりあいはっきりしています。つまり、我々は、人…

「でろでろ」完結

ヤングマガジンで5年と8ヶ月の間連載されていた押切蓮介『でろでろ』が今号で完結しました。 最終回だというのを読むまで知らなかったので驚いたのと、そしてちょっとした感慨がありました。『でろでろ』の第一話を読んだときの衝撃を懐かしく思い出します…

一般意思についてのメモ

一般意思とは何か 個人のそれぞれの意思=個別意思 一般意思は個別意思の集合ではない 個別意思の集合は全体意思 全体意思は個別意思と必ずしも一致しない 多数派が少数派を押さえ込む それは真の民主主義ではない 一般意思は個別意思と齟齬をきたさない だ…

村上春樹『1Q84』

村上春樹は少なくともある時点で物語を語ることをやめた作家だと思う。作家が物語を語るのではなくて、村上は小説の中のモノに物語を語らせている。人→人の直接的なコミュニケーションをある部分で諦めて、モノとモノとの会話を聞き取らせるという間接的なコ…

平成古本浪漫

急に休講になった講義があったのでその空き時間に学校周辺の街をぶらぶら。していたら古本屋を発見。ぶくおふとかではなく茶色くなった本が積み上がっている古いタイプの古書店。入って物色。『ディケンズ短編集』、およびニーチェ『この人を見よ』、ゲーテ…

努力と根性

僕に決定的に欠けているのは「努力」と「根性」だと思う。思い返せば今まで、努力することをサボり続け、根性がないために肝心なとこで逃げを打ってしまっていたように思う。努力と根性さえあれば僕の人生はまったく違ったものになったのではないか。いや、…

小島センセイwww

MONDO21「麻雀プロリーグ」第3回モンド名人戦 13回戦オーラス(東4局2本場 東家・小島武夫)にて、 小島武夫が九連宝燈をツモ和了。 16000点オールで逆転。 美しすぎワロタwww ぬるりと来すぎwwww おじいちゃん太いなあ

王国を待ちながら

村上春樹『1Q84』を読みました。 文体が変わったかも?いくぶんか論理的になったような。そして会話の「村上春樹っぽさ」が多少薄まったかと思う。 手法としてのサスペンスの要素がほかの作品よりも強めな気がする。ラストまでグイグイ読ませる力が強い。長…

人間的な、不足なく人間的な…… ;セイバーヘイゲン「バースディ」について

いわゆる生命倫理に関して考える授業で、SF作家フレッド・セイバーヘイゲンの「バースディ」という短編についての文章を読みました。その文章が誰によるものか先生に聞き忘れたのでわからないのですが結構面白かったのでちょっと引用してみます。かなり長く…

一般的

月曜日の社会思想の授業でルソーの『社会契約論』と『ポーランド統治論』が扱われ、その話を聞いているうちにいろいろ思いついたので、【ルソーの一般意思:ネットと未来の民主主義の可能性】と題していろいろ書こうかと考えました。しかし月曜夜〜深夜〜火…

週末の楽しみ

金曜の深夜に六本木ヒルズで映画を観ました。六本木や新宿の映画館では、金曜と土曜には夜明け前まで映画がやっています。そして僕は深夜に映画館で映画を観るのが結構好き。がらがらに空いている深夜の映画館で、じいっと映画を観ているとなんだか得をした…

バーン・アフター・リーディング

コーエン兄弟によるコメディ映画。ジョージ・クルーニーやブラッド・ピット、ティルダ・スウィントン、ジョン・マルコビッチなどキャストが豪華。 ストーリーはwikiから拝借するとこんな感じ↓ アルコール依存症が原因でCIAを解雇されたアナリストのオズボー…

綿矢りさ『インストール』

綿矢りさのデビュー作。このときなんと17歳。高校三年生。わーお。 こちらもまあまあ読める小説だとも思うだけれど、やはり芥川賞を獲った2作目『蹴りたい背中』のほうが断然よくできている。『インストール』は文体がなんともだらだらとしていてまあそれは…